日本医学トレーナー協会 Trainer Journal
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医療・介護におけるメディカルトレーナーの役割

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「悪いところを治す」ではなく、「悪くなる前に予防する」。

 少子高齢化社会を迎えた日本。高齢者の介護・医療の場では”悪くなったところを治す”から”悪くなる前に予防する”方向へ変化しているという。「人間はいくつになっても、心と身体が健全で社会というコミュニティに参加していれば、生きがいを失わないもの。今、社会的に求められているのはその”生きがい”を上手に引き出せる専門家です」。と、医師の立場から介護予防に努める石川資章先生。「だって、生きがいをなくしてしまった人に、頑張ってリハビリしましょう、と呼びかけてもしょせん無理な話でしょ。頑張った先に、生きがいを持って暮らしている自分がイメージできなければ、誰だって自発的な行動はできませんからね」。
 今までのような、”単に頑張るだけ”のリハビリは、そろそろ終わりを迎えそうだ。これからは頑張った先に、イキイキと生きる自分がイメージできる介護が求められ、そのためのサポートができる人材が求められるのだろう。

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介護にならない状態を作る、注目の専門家。
「メディカルトレーナー」

 「そもそも、人間の脳は、身体の筋肉を使うことで活性化し、うつ状態や自律神経の疾患、認知症などを予防することが出来るものです」。これを介護とリハビリの現場に応用したのが、筋力向上トレーニングだ。」。
「たとえば、人は寝たきりになると、自律神経の活動が衰え、連鎖的に血圧や消化器系などに疾患を起こしてしまいます。逆に適切なトレーニングで筋力をコンディショニングしていけば、このマイナス連鎖の加速度をゆるやかにできるんですよ。そこで今、私が注目しているのが、”メディカルトレーナー”。今後、介護や医療の場で着実にニーズが拡大していく予感がします」
 メディカルトレーナーとは、心身の機能低下を予防するための運動をアドバイスする専門家。理学療法士や作業療法士と協働し、高齢者が生きがいを感じながらコミュニティの中で生活できる力を高めていく、やりがいの大きな仕事だ。「いちばんダメなのは、まだまだ活動できる可能性のある高齢者を、過度な介護で寝たきりにさせてしまうこと。人間は身体を動かすことで活性化するんです。自分の力で何とかしたい、立ち上がりたいと思っている高齢者を、筋肉コンディショニングを通して支えていくメディカルトレーナーの仕事は、これからの日本において、なくてはならない存在になりうるでしょう」。

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これからの介護・医療には、技術も、心も大切。

 「今までの医療は病気になったらどうしよう、という発想。でも、これからは高齢者の方に、どう介入していけるかを考える医療でなくてはならないと、強く感じています」。たとえば、高齢者の場合、足腰が立たなくなった、今までできていたことができなくなった・・・といった、小さな精神的ショックが積み重なって、だんだんと家の中に閉じこもるようになってしまう。「今、私たちがしなくてはいけないのは、高齢者の方が集い、生きがいを見つけることができる場、”コミュニティ作り”です」。
 高齢者の集いの場が増えるのに伴い、メディカルトレーナーが活躍する場もどんどん増えていくことだろう。「また、これからのメディカルトレーナーには、こういった高齢者の気持ちを、まるで自分のことのように理解してあげられる”心”も大切。トレーニング技術に、運動学、医学などの基礎知識はもちろん、豊かな人間性も求められるようになるでしょうね」。

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